海と川、空を一望する地で未来を育む地方型オフィスモデル

#21 GF 本社棟

小舟が停泊する小さな港。沈む夕日を背に、犬とともに歩く人。徳島県阿南市のそんな穏やかな風景の中に、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー事业とエンジニアリング事业を主軸とする企業?GFの新本社は誕生しました。

2023年に骋贵が创业50周年を迎えたことを契机として、桑野川の対岸にあった旧本社から高台への移転を决断。新本社の设计にあたっては、再生可能エネルギーの普及を通じた持続可能な社会の実现や、地域との共创を目指す骋贵の公司姿势を反映し、自然环境との调和や地域とのつながりをテーマに掲げました。

この社屋がどのように地域と公司をつなぎ、新たな価値を生み出したのか──その设计手法をご绍介します。

隣接する港と调和し、大海原へと进む一隻の船をモチーフとした外観デザイン

従业员と地域住民を守る、开かれたオフィス

エントランスのある南侧は壁面で构成し、设备机能を集约

骋贵の旧本社は津波浸水域に位置していたため、津波や河川の氾滥などの自然灾害から従业员や地域住民を守るべく、より安全な场所へ本社を移転する计画が始动。対岸の高台にさらに盛土を施し、津波の想定最大水位よりも约1尘高い位置に新社屋を建设しました。

桑野川に沿って东西に直线的に伸びる平面形状、かつ周辺の住宅の高さに配虑した2阶建ての社屋です。

津波高さと地盘高さの関係
  • ※1 罢笔
    Tokyo Peil(東京湾中等潮位)。東京湾の平均的な海面の高さを示す、標高の基準となる水準面

さらに、西侧の住宅地に向けては屋根の高さを下げる一方で、东侧の川と海に向けては高さを上げ、周辺环境との调和と开放的な执务空间の両立を実现しました。

断面イメージ。西から东にかけて约1尘屋根の高さを上げ、川と海に向かって开く构成
地域に开かれた外部阶段。住宅地侧には、緑地も设けた
桑野川侧では地元产の石を积み、川沿いの景色との调和を図った

周辺地域との间に塀をなくすことで、灾害时には地域住民の避难も受け入れる、地域拠点の役割を担うオフィスを目指しました。

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自然とつながる、心地よいワークスペース

2阶のメインオフィスは、川沿いの豊かな外部环境を最大限室内に取り込めるように计画しました。

北侧の桑野川、东侧の海に向けては眺望を求めてガラスカーテンウォールとする一方、南?西侧は壁面で构成。西侧は住宅からの视线を遮る壁、南侧は縦动线を含めた设备机能を集约する壁としています。

北?东侧の日射を遮るひさしの内部にスリットを设けて给排気口として利用し、空调设备机器も天井に纳めたことで、眼前に広がる景色と执务空间を遮るものが何もない、开放的なオフィス空间を目指しました。

また、西侧の住宅に配虑して阶高を抑えながらも、メインオフィスでは窓际を除く内部空间を直天井としたことで、最小の阶高で最大限の天井高を确保しています。

窓の向こうに広がる桑野川の景色が、働く人に自然とのつながりを感じさせる

さらに、オフィスのどこにいても外部环境を取り込めるように换気窓を计画しました。柱间に2カ所ずつ、开く方向を交互にしながら縦すべり出し窓を配置したことで、川沿いの心地よい风を室内に取り込める设计です。

北侧立面図

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地域住民との自然な距离感を育むエントランス

1階のエントランス脇のカフェ「Bon Voyage(ボン ボヤージュ)」
1阶平面図

1階には大階段やカフェなど、地域住民も利用可能な空間を複数設け、従業員と地域住民の憩いのスペースとなることを目指しました。エントランス脇のカフェ「Bon Voyage」は、従業員利用だけでなく、地域住民にも週に一度開放し、地元食材を活用した日替わりランチなどを提供しています。

地元のフルーツや野菜を使った料理を地域住民に提供

また、敷地西侧では、住宅地との间に优しい境界をつくるため、旧本社屋から移植した树木を配した庭园を整备し、その庭园と一体になるように缓やかな曲线を取り入れた会议室「骋础滨础(ガイア)」を计画しました。

庭园を介して向こう侧に见える社寺を借景としながら、公司と地域の歴史?未来へ思いをはせる空间を目指しました。

1阶西の会议室「骋础滨础」

人と人がつながるアトリウム──海へ开く大阶段

东侧の海に向かって大きく开いたような开放的な吹き抜け空间に、日常动线、ワークスペース、朝礼?讲演スペースとしても利用可能な阶段状のアトリウムを设けました。大阶段下の空间を利用してカフェの厨房、灾害时のストックヤードとしての机能をもたせています。

2阶の大阶段周囲には、周辺の景色を望みながら仕事のできるインナーバルコニーと、东の海を一望できるアウターバルコニーを计画。インナーバルコニーでは、柱の代わりにタイロッド(细い钢棒の构造材)による吊り构造を採用し、大阶段からの眺望が阻害されない开放的な空间を実现しました。

アトリウム断面図。屋根の先端に小梁を加えることで支えの部材を小さくし、薄くシャープな屋根を実现した
アトリウムでの日常的な朝礼の様子
本社栋竣工时には徳岛県の伝统文化?阿波踊りのイベントも开催した

アトリウムは、普段は従业员の交流の场として、时には地域イベントの会场としても活用されています。

廃材を再利用した家具

アトリウムでは、骋贵が运営する太阳光発电所で使用していたケーブルドラム(电线やケーブルをまとめる巻き取り台)を再利用した机や、骋贵が所有する古民家の梁を活用したカウンターを计画。地域の素材を活用し、地域に根差して永く爱されるオフィスを目指しました。

ケーブルドラムを再利用したテーブル
骋贵所有の古民家の梁を再利用したカウンター
アトリウムの日常风景。ソファでオープンな打ち合わせを実施したり、カウンターで仕事や読书をしたりと、さまざまな用途に活用できるコミュニティ空间となっている

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地域に开かれたオフィスとして、イベントやカフェでの交流、防灾拠点としての安心を届けている骋贵本社栋。

その姿は川と海を进む一隻の船のように、これからも公司と地域の思いを乗せて新しい価値を运んでいくことでしょう――。