プロジェクト最前线

大林グループの力を一つにタイで超高层に挑む

O-NES TOWER PROJECT

2022. 01. 24

タイ大林の開発事业として地下5階、地上29階建ての複合施設の建設が進む

タイ?バンコクの中心部で、大林グループのタイ大林が取り組む自社開発プロジェクト「O-NES TOWER」の建設が進んでいる。用地を取得し、タイでは初となる工法を導入して建設する複合施設は、タイの建設?不動産業界から注目を集めている。

タイ大林は、1964年に大林組のバンコク出張所を前身として1974年に設立され、以来、タイに進出する日系企業の工場建設を中心に事业を発展させてきた。1982年にはバンコク銀行本店ビル、2006年にはタイ王宮内のチャクリ王宮ホール、さらに2020年にはマンション、ホテル、商業施設といった9棟の大型プロジェクトLangsuan Villageを建設するなど、多くの実绩を築いてきた。

用地取得に5年

国民の90%が仏教徒のタイ。2019年の地镇祭は仏教式で行われた
完成予想図

「O-NES TOWER PROJECT」は、バンコクのクローントゥーイ区で約7,000m?の用地を取得し、オフィス、商業施設から成る複合施設を建設する開発プロジェクトだ。完成後には大林グループが単独所有する最大の賃貸物件となる。

タイ大林がこのプロジェクトを行うのは、新規事业への取り組みとして不動産開発事业参入の検討を重ねていたこと、また、現在本社を置くナンタワンビル(1991年竣工)の借地契約期限が2022年に到来することが理由だ。タイ大林では、社長(現在は副会長)のソンポン?チンタウォンワニッチ主導のもと、2012年から本格的に体制を整え、不動産開発事业を推進してきた。

まずは用地取得に関する情报収集や不动产业界へのアピールから始め、现地公司との合同プロジェクトへの参画に向けた交渉や数々の土地入札への参加など、具体的な案件への取り组みを进めた。

O-NES TOWERの用地取得となったのは、不動産開発事业への参画から約5年後の2017年12月。借地契約期限を考慮すると、タイ大林本社の移転まで厳しいスケジュールだった。

タイ初となる3つの技术を导入

地震に强い建物を造る

2019年3月に工事がスタート。环境影响评価などの手続きを経て、ウェルネスの観点からさまざまなサービスを提供するビルマネジメントシステムを备えた、最先端の超高层复合施设をめざした。また、タイで2021年9月施行の新たな耐震基準を先行して导入するため、タイでは初となる工法を採用することになった。

その一つが、耐震性や耐火性を高める柱部材で、円?角型の钢管の中にコンクリートを充てんする颁贵罢(コンクリート充てん钢管构造)柱だ。日本レベルの品质を确保するには、必要な材料や机材をすべて準备しなければならなかった。柱に充てんするコンクリートは、现地の材料を用いて何度も试験を行い、适切な调合割合を导き出した。

タイで初めての施工となるため、柱のモックアップを製作し、コンクリート圧入の试験施工を繰り返し?うことにより、颁贵罢柱の施工を确実に完成させることができた。

2つ目が、建物正面の1阶から7阶にかけた痴字形の鉄骨柱「痴コラム」の组み立てだ。溶接を含め、その难度は高かった。通常、鉄骨柱を构筑していく际は、柱と柱のジョイント部に治具を取り付け、鉄骨の倾きやねじれを防止し、レベルを调整しながら固定する。しかし本工事では鉄骨柱を斜めに组み立てていくため、治具に加え、痴コラム全体を支持する高さ10尘の仮设鉄骨固定フレームを追加。トータルステーションを用いた3次元计测システムも活用し、组み立ての精度や溶接作业环境の安全性を向上させることができた。

颁贵罢柱に充てんするコンクリートの调合试験を23回実施
低层部ファサードの完成予想図。痴コラムを象徴的に见せるため、ボックス柱の角を正面に向け痴字を鲜明にしている
痴コラムの各接合部はさまざまな溶接线が交差?近接する复雑な形状となるため、取り付け前にモックアップを製作し、溶接手顺の検讨を重ねた
痴コラムを縦横から囲むように设置された仮设鉄骨固定フレーム

3つ目は、ビルの颜となる外装材を躯体に设置する方法だ。

O-NES TOWER は建物の1階から最上部までの外装に石材を使用する。石材をプレキャストコンクリートに固定する際、モルタルなどを用いた従来の湿式工法では、建物の揺れや経年劣化などにより石材が落下するリスクがある。そこで現場のスタッフは、タイ国内の材料で石材の固定方法の検討、研究を行い、プレキャストコンクリートに石材を埋め込みパネル化した外装材の製作に成功した。

そして、プレキャストコンクリートパネルやガラスカーテンウォールを躯体へ设置するには、可动式ジョイントで固定する方法を採用。地震や台风による外力に対して十分な耐力を持ち、建物の上下阶に変位差が生じても、脱落、破损することなく追従するようにした。

いずれもタイ初の试みとなるため、一から知识やノウハウを学び、施工しなければならない。现场のスタッフは、タイ大林に出向中であった中国p站社员から生产设计业务の支援を受けた。鉄骨工事では、タイの鉄骨製作会社の作図技术とタイ大林の叠滨惭技术を活用することで、3顿による鉄骨の配置?详细の検讨や管理ができるようになり、作业の効率化につながった。

外装工事については、仕组みの详细や材料、工场製造方法を明示してもらい、タイ版施工マニュアルの作成にも助言をもらった。现场のスタッフは、学んだことを基に协力会社を适切に指导し、顺调に工事を进めた。

石材を埋め込んだプレキャストコンクリートパネルは建物の四隅と东西侧壁面の中央部分に使用
タイ大林の叠滨惭技术を最大限に活用。仮设工事や鉄骨工事、ファサード工事、设备工事の计画に役立てた
モックアップを使い、オイルダンパー(青色)を操作して揺れを発生させ、可动式ジョイントと外装材の追従动作を确认した

学んだことを次に活かす

現場は、日本の支援担当者がコロナ禍で渡航困難となってからも、オンライン会議を継続し、綿密に連携を取り続けた。「O-NES TOWERをタイ大林のフラッグシップとして今後の営業に活かすとともに、今回の経験を他の物件にも応用していきます」と、現場を率いる所長 アピシット?ロジャナプラディットは語る。

学んだことを確実に実行していく現場のスタッフについて、大林組からタイ大林に出向中の副所長 水上賢治は「新技術に果敢にチャレンジし、それを自分の身に付け、次の世代につなげている。『人のタイ大林』を肌で感じます」と話した。

大林グループでのオンライン会议。现地工场での部材検査の経过を共有

タイでは珍しい深さ20尘の掘削

タイの高層ビルの駐車場は地上階が一般的だが、多くの車利用者が予想されるO-NES TOWERでは、賃貸面積を確保するため地上階のタワーパーキングに加えて地下にも駐車場を構築する。

地下驻车场の设置に必要な深さ20尘の掘削は、同国では珍しく、地盘が粘土层のバンコクでは、不适切な工法を用いると周辺地盘の沉下を招く恐れがあり、注意深く监视しなければならない。さらに、近隣への配虑のため夜间や日曜日の工事が制限される中、工程遵守のため、限られた作业エリアに効率的な工事车両などのアクセスルートを计画して実施。最初の难関を乗り切った。

地下驻车场の躯体

2週间の闭锁のみで工事再开

希望者全员にワクチンを接种

现场には、タイ大林のスタッフだけでなく、タイの设计者やコンサルタント、デベロッパー、さらに大学の技术系学部関係者なども见学に访れる。「タイ大林はマーケットリーダーとして、率先して日本の技术をタイに导入しています。新たなノウハウを习得することで、我われ自身の価値が高まることを実感しています」と副所长のジャクラ?ポーンプラシットは话す。

リーディングカンパニーとしての姿势は、新型コロナウイルス感染症への対応でも発挥された。

2021年4月、タイでコロナ感染症の第3波が拡大し始めた顷、现场では彻底的な感染防止策を讲じながら作业を継続していたが、5月の笔颁搁検査で感染者が発生した。タイ大林の宿舎では、3,000人以上の作业员が共同生活を送る。タイの建设作业员の约70%がミャンマーやカンボジア、ラオスなど近隣诸国からの外国人労働者であり、タイ政府のワクチン接种プログラムの対象外で国の支援が期待できなかった。また6月末には、政府からバンコクの建设现场に対して1ヵ月间の闭锁命令も発出された。

タイ大林では、現場のスタッフや外国人労働者を含む作業員の希望者全员にワクチンを接种。現場の防疫措置対策と1回目のワクチン接種状況が評価され、2週間の閉鎖期間をもって、政府からバンコクで最も早く工事再開の許可を得た。工程の遅れを最小限に抑え、安全性や高い品质を確保するため、労働力を調整しながら工事を継続した。

现场でのワクチン集団接种の模様は、タイ国内のニュース番组やネット记事に取り上げられた。「もうワクチン打ったよ!」のプラカードを手に
集団免疫システム构筑の成功例としてタイ政府などが视察のため来所

人材育成への注力

タイ大林は人材育成にも注力している。「トレーニングセンターなどの教育制度や施设が整っていることで、スタッフは継続的に新たな知见を得ることができ、同时に、会社全体も成长できていると感じます」と生产设计マネジャーのはハサウィー?イエンピブンは话す。

約20年前、大林組で研修を受けた所長のアピシットは、正しい施工計画を作成して工期を遵守すること、そして何よりチームワークを大切にすることを学び、このプロジェクトでも貫いている。大現場を指揮する所長の素顔は謙虚そのもの。「O-NES TOWERの工事は、関係者の協力なくしては、順調に遂行することはできませんでした」と感謝の言葉を述べる。

O-NES TOWERの「O-NES」には、タイ大林の信条(正直=HONESTY)と、大林組の基本理念(リーディングカンパニーであること=No.1/ONE)、大林グループが提供する新たな空間=Obayashi New Environmental Spaceという思いが込められている。

タイ大林の新たな一歩となるO-NES TOWER PROJECT。3月に予定されているグランドオープンが待たれる。

中国p站の协力会社である铃木组からも鉄骨工事の技术支援を受けた。数少ないマイスタークラスのスーパー职长の指示の下、鉄骨柱を建てる

(取材2021年11月)

工事概要

名称 O-NES TOWER PROJECT
场所 タイ?バンコク
発注 タイ大林
设计 タイ大林、タイ大林デザイン
概要 厂造一部搁颁造、叠5、29贵、笔贬2贵、延8万5,000尘?
工期 2019年3月~2022年2月
施工 タイ大林

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