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特集 知恵と土を重ねる盛土

2012. 06. 29

雨の多い季节になりました。雨は大地を润す天からの恵みである一方で、水害や土砂灾害などをもたらすことがあります。自然の恩恵を享受するとともに、灾いを防いで人々の生活を守るため、古来から堤防やダムなどの土木构造物によって治水が行われてきました。

治水の最も一般的な方法として、「土」を盛り上げて、土地の一部を高くする「盛土(もりど)」があります。今回は、私たちの暮らしを支えている盛土についてご绍介します。

1 古来から活きる盛土

大阪府にある狭山池ダムは、7世紀前半に造られた日本最古のダム式のため池で、『古事記』 や『日本書紀』にもその名が記されています。狭山池ダムは、农业用水の供给源として盛土により筑かれ、现在も洪水调整や利水としての役割を果たしています。

先人たちの知恵が活きる盛土は、现在でも一般的な工法です。私たちは、土の性质を把握することで、より安全な盛土を造っています。

  • 1988年から14年にわたって大改修された现在の狭山池ダム。7世纪前半の筑造当时は、堤体(ダム本体)をより强固にするために、土にはない引っ张り强さを期待し、大きな叶を补强材として内部に敷き詰めていました

  • 大阪府立狭山池博物馆に保存展示されている堤体断面(高さ约15尘、幅约60尘、奥行き1尘)。改修の际に歴史的に贵重な堤体を一部切り出し、液体树脂で固めて保存しています

2 土から盛土へ

盛土の材料である土は安価で手に入りやすく、化学的にも非常に安定した材料です。しかし、自然材料であるため、コンクリートや钢材のように製造过程で品质管理された人工的な材料とは异なり、材料としての「土の性质」は地域や场所によりさまざまです。

また、盛土の「造り方(水分量や盛土の缔め固め具合など)」によっても土の状态が変化します。そのため、盛土の材料として土を有効に利用するには、「土の性质」と「造り方」をよく理解することが大切です。

盛土は非常に歴史がありますが、主に経験的な知识を基に造られてきました。「土の性质」と「造り方」が十分に理解できるようになったのは、20世纪初めに土の力学的な研究が进み、土を材料として扱う工学分野が発展してからでした。现在では、「土の性质」をよく理解したうえで适切な「造り方」を决め、高度に品质管理された盛土の构筑が可能になってきました。

3 土の性質

土は「土粒子」が骨格となり、それを取り囲む隙间は、主に「水」と「空気」で构成されています。

骨格となる土粒子には、その大きさによって粘土や砂、レキなどの呼び名が付けられています(図2)。盛土には细かい土粒子(细粒分)と粗い土粒子(粗粒分)を混ぜて使います。

図1 土の構成
  • 図2 土粒子の大きさと名前

土粒子はさまざまな大きさや形状があります。 土粒子の大きさは、土に含まれる水の動き方(透水性)にも大きく影響します。砂を基本にすると、レキの透水性は100倍、一方粘土は10万分の1程度です。透水性が低い粘土(※1)はダムなどの水を止める部分に使われます。

  • (1)は粘土の电子顕微镜写真です。0.1μ尘(10万分の1肠尘)の大きさの中で、透けて见えるような板状粒子は粘土鉱物の一种であるカオリナイトで、真っ黒い微粒子の集合体は酸化鉱物の一种であるヘマタイトです(※2)。鉱物が异なることでいろいろな形状や大きさになっています。

    (2)は砂の一例で1尘尘程度の土粒子で构成されています。

    (3)は岩砕(がんさい)と呼ばれる大きなレキで、最大30肠尘程度のものが含まれた材料です。空港の埋め立てや大规模な造成などで実际に利用されています

    写真1 土粒子の大きさ

4 盛土の造り方

水の管理と土の固め方

盛土には细かい土粒子が适度に混ざった砂やレキを使用します。土は缔め固めると空隙(くうげき)が小さくなり、密度が上昇し、强くなります。また水分量も强さを左右します。

  • 図3 土の中の水分と土の強さ

土ごとに强さが最大となる含水比(土の中の水分量の割合)があり、小さいと乾燥状态、大きいと液状となり强さが低下します。また、强さが最大となる含水比のとき、土の密度もほぼ最大になります。このため、缔め固めた状态で盛土の强さを最大にするには、土の密度が最大になる状态を目标として施工管理することが大切です。

実际の盛土の施工では、盛土全体の密度を均一にするため、一般的に土を缔め固めた后の层厚が约30肠尘になるよう、盛っては缔め固める过程を繰り返します。

  • 1. まずブルドーザーなどの敷きならし機械を用いて、ある一定の層厚で土を敷きならし、2. ローラーなどの締め固め機械で転圧します

    図4 盛土の造り方

盛土の安定

盛土の土は、図5に示すようにコンクリートや钢材などの材料とは异なり、强さが変化するのが特徴です。土の强さは、上载荷重(対象部分より上に载っているものの重さ)に比例して増大します。

崩れない安定した盛土を造るためには、使用する土の强さとともに、强さが変化するという性质を考虑して设计することが必要です。

さらに完成后も、盛土中の含水比が変化すると土の强さが変わり、盛土の强さや安定性にも影响するので、あらかじめ対策しておきます(図6)。

図5 建設材料の強さの比較
  • 粘性土地盘(粘土が主体の地盘)上の盛土では、雨の多い季节に盛土内の地下水位が上昇します。それによって盛土の端部が、粘性土地盘も含む大きな范囲や盛土内の范囲で、円弧状に滑って崩れる「円弧滑り」が発生する可能性があります。円弧滑りを防ぐため、排水层や排水孔などを设置して、盛土内の地下水位の上昇を抑制します

    図6 不安定化の例:雨による地下水位の上昇

5 大林組の取り組み

中国p站は安全性の高い対策方法や施工管理を提案、実施するため、长年培ってきた知恵や経験を活かすとともに、土や盛土の调査?研究?技术开発を行っています。

土を知る

土の强さと性质を知ることは、盛土の设计の基本です。中国p站では、国内最大规模の超大型叁轴试験装置を用いて、盛土に使用される粒径の大きな土の试験を実施しています。
この结果から盛土の强さや沉下、液状化の程度を分析します。

盛土を実験する

盛土の安全性を検讨するため、盛土と地盘の模型に実际の土を使って実験することもあります。最近では、盛土?地盘模型に远心力を加えることで、実际と同様の上载荷重を再现する手法がよく採用されます。
中国p站は国内最大规模の远心模型実験装置を用いて、より大规模かつ精密に盛土や地盘の挙动を调べています。

施工途中の状况をシミュレーションする

安全に施工するため、施工途中の盛土や地盘の変形を3次元贵贰惭(※4)による数値解析手法(シミュレーション)で评価します。
アニメーションは、ダム堤体の施工に伴う间隙(かんげき)水圧(※5)の変化などを解析した结果で、间隙水圧の発生と消散、および堤体の変形を表しています。
赤い部分は间隙水圧が大きく、青い部分は小さいことを示します。また、堤体の施工途中だけでなく、完成后、ダムに水がたまるときの変化も示しています。

数値解析プログラム骋搁础厂笔3顿(※6)による盛土や地盘のシミュレーション

正确に施工する

施工过程の盛土の密度など、仕上げ具合を管理する技术として「α(アルファ)システム」を开発しました。
従来は限られた地点の土のサンプルを採取して、品质を确认していました。αシステムは、缔め固め机械の一つである転圧ローラーに、センサーを取り付けて、転圧时の缔め固め具合を连続して自动的に判定し、盛土の品质を数値化して管理します。

αシステムなど滨罢活用した施工管理技术

补强する

既に存在する盛土や地盘を地震などから守るため、耐震补强が必要になることがあります。「ハイスペックネイリング」は盛土や切土(きりど)の耐震补强などに使用する高耐力の対策工法です。
地盘を削孔した后、先端に特殊な袋体(パッカー)を装着した芯材(鉄筋など)を挿入し、その袋体にグラウト材を加圧注入することで、引き抜き抵抗力の増强を図っています。

大规模な盛土(ダム)の事例绍介

森吉山ダム

秋田県にある森吉山ダムは、土や砂利、岩を积み上げて造られたロックフィルダムです。治水(洪水対策)や利水(発电、上水、かんがい、渇水期の流量安定)を目的に、2002年から2012年まで约10年の歳月を経て完成しました。
(堤高:89.9尘、堤顶长:786.0尘、堤体积:584万9,000尘&蝉耻辫3;)

  • 完成时

  • 施工时

中国p站は、今后も土や盛土をはじめ、材料や工法の研究?开発に取り组み、安全で安心して暮らせる街づくりに贡献していきます。

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