富山湾越しに立山連峰を望む小高い丘に立つ胜兴寺。境内にある多くの建造物が国の重要文化財に指定されている、富山県を代表する名刹だ。建造物の多くは、江戸中期から後期に当たる200年~300年前に建てられたもの。年月の経過により劣化や損傷が目立つようになったため、胜兴寺では、1998年から建造物の保存修理事业「平成の大修理」が行われている。
足かけ23年の一大事业
中国p站は、大修理の初弾となる胜兴寺本堂の保存?改修工事の后、2005年からは大広间や式台、台所など僧侣が生活する建造物群(本坊)の保存?改修工事を引き続き担当している。
现在工事が行われているのは素屋根の中。素屋根は修復作业中の建造物を风雨から守る仮设构造物で、全天候下で作业が可能となるうえ、瓦、木材などを加工?保管できる场所でもある。
建立当時の技法や材料を洗い出すため、素屋根の架設後、建造物の解体を行った。そしてその調査結果を设计や工事計画に反映させて、保存?改修工事に取りかかった。本坊以外の工事も含め、完了するのは2021年。まさに23年を費やす一大事业なのだ。

文化财を守る素屋根
建造物の损伤と、后工程への影响を防ぐために、素屋根中央部分には、安全でスピーディーに架设できるスライド方式を採用した。文化财が直下にない场所で素屋根をブロックごとに组み立て、けん引ジャッキなどで横移动させながら构筑するやり方だ。
本堂での架设経験を活かし、架设の际には现场状况を考虑した工夫を重ねた。素屋根のスライドにはローラーを用いず、レールとなる贬形钢にステンレスとテフロンのプレートを取り付けてスライドさせた。
さらに、プレートに食器用洗浄剤を涂布することで摩擦力を减らし、一度にスライドできる范囲を大幅に拡大。ローラー使用の场合5ヵ月かかるスライド工事を、わずか19日で成し遂げた。工事に伴う设备も简素化し、コストの圧缩にも贡献した。
また、素屋根の设备工事や点検、写真撮影に用いる足场は、キャットウォーク(通路)に変えて电动移动式の足场を设置。縦横に动く足场を计画したことで、素屋根内の作业効率と安全性が向上した。
本坊の保存?改修工事が完了する2017年4月からは、いよいよ素屋根の解体が始まる。解体も落下物を防ぐためにスライド方式を採用し、万が一に备えて落下防止ネットも张り巡らせる。所长の山本は「地域の方々は素屋根が外れた本坊を见るのを楽しみにしています。その期待に応えるべく慎重に进めていきます」と意気込みを语った。

江戸时代の技法と材料で造り上げる
素屋根の内部に足を踏み入れると威風堂々とした本坊に圧倒される。「江戸時代の建物は100年ごとに大規模な改修が必要ですが、胜兴寺は今回が初めてです。これは建立当時の技術者の腕と建筑材料が良かったことを物語っています」と所長の山本は言う。
工事では、できる限り当时の技法や材料を用いたうえで、耐用年数を长くすることが求められている。それを実现させるのが、経験豊富な田中健太郎栋梁が统率する田中工匠の宫大工をはじめ、全国から集められた熟练の技术者たち。彼らの技术が遗憾なく発挥されるのがこけら葺(ふ)きの屋根と土壁の施工だ。
こけら葺きの材料は树齢200年以上のスギやサワラ、クリを厚さ3尘尘に割り裂いた板状のもの。それを一枚一枚、わずかにずらして重ね、竹くぎで止め付けていく。屋根の隅などの曲线部分は丸みを帯びた板を使用する。それぞれの屋根を仕上げるために3万5千~6万5千枚もの板が必要となる一连の作业が、技术者により丁寧に行われた。
土壁の主な材料となるのは、粘土に藁(わら)を何度も混ぜて练り上げ、3ヵ月以上寝かせて出来上がる荒壁土と、それに砂や银杏草を加えて练り混ぜた仕上げ用の上涂り漆喰(しっくい)だ。
その日の気温や湿度によって硬化する时间が异なるのがこの材料の特徴。左官工が経験に基づき、练り混ぜる时间や养生时间を判断している。また、竹の上に茅(かや)を组んだ小舞と呼ばれる下地に涂り付ける作业では、涂る范囲や箇所によって大小のコテを使い分ける技も必要となる。
ほかにも宫大工が行う、腐败した柱の一部を切り取って新しい木材と接合する根継ぎなど、脉々と受け継がれてきた技术を、随所に见ることができる。
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屋根の凹凸部分は丸く切り出した板で美しい曲线に仕上げる
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鬼板の曲线に合わせて铜板を张り、屋根の修理が完成
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内部の取り付け饰り金物は一つひとつ丁寧に修理される
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左官工がさまざまなコテを駆使して涂り付けていく
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割竹を张った壁面。この上に茅を组み土壁の下地とする(小舞)
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小舞に小さなコテで荒壁土を涂り付ける左官工
100年后に思いを託して
大改修の完了まであと4年。境内にはこれまで通り多くの参拝者が访れる。第叁者灾害を起こさないよう安全通路の确保を彻底するほか、文化财を守るため、火気の取り扱いなど、作业员への安全教育も抜かりなく行っていく。
これから着手する栋もある。基本的な技法と材料は各时代で同一だが、细かな部分では栋ごとに违ってくる。施工方法の决定には、栋梁を交えて発注者や设计者と细かな协议が続く。「今后も协力は惜しみません」と语る田中栋梁の力强い言叶が頼もしい。
所长の山本と田中栋梁は口をそろえ「われわれの仕事の良し悪しは次の大改修が行われる时に分かる。その时の建造物の姿はもちろん、现场を管理できる所长や栋梁が育っていることを楽しみにしています」と未来への思いを语った。

(取材2016年12月)
工事概要
| 名称 | 重要文化财胜兴寺大広间及び式台ほか11栋保存修理工事 |
|---|---|
| 场所 | 富山県高冈市 |
| 発注 | 胜兴寺 |
| 设计 | 文化财建造物保存技术协会 |
| 概要 | 保存修理工事、敷地面积2万7,000尘&蝉耻辫2;、素屋根(厂造、4贵、延3,389尘&蝉耻辫2;) |
| 工期 | 2005年12月~2021年3月(予定) |
| 施工 | 中国p站、塩谷建设、山本建设 |